戸山翻訳農場

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Trinity College トリニティ・カレッジ

「こいつぁイェールの学生で、ハートフォードのカレッジにゼロをお見舞いしてやったって、お祭り騒ぎしてんだ。うるさいけど害はねえ。こいつらのことは、ほっとけって指示が出てるから」『警官と讃美歌』

 「ハートフォードのカレッジ」は、ハートフォード大学(The University of Hartford)ではなく、コネティカット州ハートフォード市にあるトリニティ・カレッジ(Trinity College)を指しているのだろう。

 

 ハートフォード大学は、1957年の創立。一方、トリニティ・カレッジは1823年創設で、東部ニューイングランドの伝統的なリベラル・アーツ・カレッジ。名門私立大学の連盟「アイヴィー・リーグ」のカレッジ版「リトル・アイヴィー」のひとつに数えられる。当時は「ハートフォードのカレッジ」といえば、トリニティ・カレッジを意味したようで、新聞記事でも、「ザ・ハートフォード・カレッジ(the Hartford College)」などと呼ばれている。

 

 1903年9月26日、フットボールの開幕戦で、イェールとトリニティが対戦、35対0でイェールが大勝した。その2年前の開幕戦でも、23対0でイェールが勝っている。O・ヘンリーは、そのイメージから「ガチョウの卵(=形が「0」、つまり0点に抑えたということ)をお見舞いしてやった」と書いたのかもしれない。

 

 日本の六大学野球で言えば、早稲田あたりが東大を完封して、高田馬場で馬鹿騒ぎしているようなものだろうか。

 

 ちなみに、フットボールの最終戦は、伝統的にイェールとハーヴァードが対戦する。こちらは「ザ・ゲーム」と呼ばれ、実力が拮抗。早慶戦のように、ライバル対決となっている。

(有好宏文)