月曜 14:45~18:00
木曜 16:30~18:00
金曜 18:00〜21:30?
若い女がひとり、感じのいい控えめな装いでショーウィンドウの前に立ち、髭剃り用マグカップとインクスタンドに、じっと見入っており、その二ヤード先にはいかめしい大柄な警察官が消火栓にもたれ掛っていた。『警官と讃美歌』
十九世紀末から二十世紀初め、マンハッタンのロワー・イーストサイドのバワリー地区に、男娼(male prostitute)が集まっていた。客も男性。この地区だけで、6つの男娼売春宿があった。彼らは「フェアリー(fairy)」と呼ばれた。女性の売春婦を真似て、女性らしい服装をしていた。
『警官と讃美歌』では、「女性」が、男性の道具である髭剃りマグやインクスタンドに、うっとりと見入っている。これが男娼を示唆しているのだとすると、ソープィーは「女性」がしなだれかかってきた時に、「男だ」と気付いたのだろうか。だから、「連れを振り切って、逃げた」のかもしれない。
映画版である『フル・ハウス(O. Henry’s Full House)』(1952年)では、女性のセックス・シンボルとされたマリリン・モンローが「女性」役を演じた。
(有好宏文)
▽参考文献
”Gay New York:Gender, Urban Culture, and the Making of Gay Male World 1890-1940” George Chauncey
“Masculine identities: The History and Meanings of Manliness” Herbert Sussman
(http://www.academia.edu/344230/Male_Prostitution_in_the_Twentieth_Century)