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Witches’ Loaves 時代背景                    菅野楽章

1912年 建設中のMunicipal Building
1912年 建設中のMunicipal Building

 Witches’ Loavesのなかに、ニューヨークであることをはっきり示す記述はないが、年代を考えると、「a new city hall(新しい市庁舎)」とは、当時マンハッタンで計画・建設中だったミュニシパル・ビルディング(Municipal Building/ニューヨーク新市庁舎のことを指しているのだろう。

 

 19世紀後半、人口が急増していたニューヨークでは、19世紀初めに建てられた既存の市庁舎(City Hall)のみで行政機能・サービスを司ることが難しくなり、新しい建物が必要となっていた。

 

 そこで、1888年から1907年にかけて、4回のコンペティションが行われる。12の建築事務所が応募した最終コンペティションで選ばれたのは、マッキム・ミード&ホワイト事務所である。当時は摩天楼が次々と登場しはじめていた時代だったが、古典的な様式建築で名を馳せていたこの事務所にとって、高層ビルの建築は初の試みだった。しかし、若いスタッフが中心となって、ローマ建築等の要素を取り入れた高層建築を見事につくりあげる。

 

  1916年に完成したこのミュニシパル・ビルディングは、いまも世界最大級の庁舎として知られている。また、1966年には、ニューヨーク市の歴史的建造物に指定されている。

 

参考

nyc-architecture

http://nyc-architecture.com/SCC/SCC030.htm

http://nyc-architecture.com/SPEC/GAL-SCC-MUN.htm

小林克弘『ニューヨーク 摩天楼都市の建築を辿る』丸善、1999

小林克弘『アメリカ様式建築の美 マッキム・ミード・ホワイト』丸善、1988